時は過ぎゆき

歳を取るに従って多くの人が
過ぎてゆく時間を早く感じるそうです。
ほんと、その通り。

この根子岳手ぬぐいを作ってから何年経ったかしら。
追加で2回染めてもらったのですが、
いよいよ在庫もなくなり、
染めムラのあるものがあと僅かだけとなりました。
さて、もう染めてもらっても売れないかなぁ。
最後に染めてから何年も経ったし、
京都の染物屋さんには、
さすがにもう版もないだろうなぁ。
木版画のカードにある柄ですが、
空にはイヌワシ、雲にはリスが隠れています。
根子岳のたおやかさがでているいい図柄だと思います。

客室にこんな本が残っていました。
心当たりのお客さんにお尋ねしましたが、
持ち主が見つかりません。
懐かしい本ですねぇ。
まだ10代だった頃に読みました。
ただカミュを読むこと自体に憧れていた気がします。
「きょう、ママンが死んだ」という
忘れられない出だしを読みかえすと、
この本を読んだ時の若かった自分や
その時に感じた本から浮かび上がった行ったこともない
フランスの田舎の土埃たちあがる道、
夏の太陽の日差しを懐かしく思い出しました。
たとえ意味がわからなくても、
若い時に名作と言われる本を読むということは、
なにか心に残るものですね。

この本を置き忘れたのは、どなたかしら、
若い人かしら・・・
オバアサンに青春を思い出させるために
置いていってくれたのかな。